Canadian Investor Conference (カナダ投資会議場)より

Oxford Club(3月26‐29日)に続いて今度は同系統のCambridge House International (ケンブリッジ・ハウス・インターナショナル)から招待され6月1日から2日にカナダのバンクーバーで開催された会議に出席している。
開会に当たって会議場の中央ステージで私がインタビュアーの質問に答える公開ショーがあり、続いて100万人をカバーする経済専門テレビに主演した。
アメリカでもそうであったが、経済専門家もビジネスマンも日本の経済と政治は全く理解できないと言う。そのため私のコメントに多くの関心が集まる。
日本の国債利回りは市場金利をはるかに下回り、国債を持つこと自体は「銭失い」であるが日本の国債入札で札割れ(注文が入札額を下回る事態)になったことがない。また定期預金の金利も市場金利にはるかに及ばないから定期預金をすることは「銭失い」である。しかし日本の国債のほぼ100%は国内で消化され、国民の預金高もGDP(国内総生産)の約3倍(300%)の1,500兆円である。
アメリカでもカナダでも何故か全く理解できない。私は、日本人は金利を得ることが目的で貯金しているのではなく、丁度貯金箱感覚で、損は保管料と考えれば分かるはずだ。国債も同じで安心資産であって投資対象ではないと答えている。

アベノミクスについて必ず聞かれる質問は、日銀は異次元金融緩和を何故アメリカが緩和縮小を決めた頃になって始めたのか。日本の経常収支の黒字は海外所得が貿易収支の赤字より大きいからだ。経常収支黒字を増やすには円高でなくてはならないのに何故安倍政権は円安政策を採るのか。円安で輸入原材料コストを上げ輸出競争力を落とし、さらに経常収支に貢献する海外直接投資を不利にするのは何故か。日本の株価が円安になると上昇する理由が全く分からない。日本経済は世界第三位で世界経済に大きなインパクトを与えるのにアメリカでもカナダでも欧州でも日本経済について語る者がいないのは誰にも日本経済が理解できないからだ。
私はすべての質問に対し明快に答えたが、誰もが狐につままれたような顔をしていた。読者の皆様で株式投資をしている方は安倍政権と共に円安を期待し、円安を歓迎しているのだから上記の質問と疑問すべてにお答え出来ると思うので私からお答えすることはないだろう。しかしこの調子だと「日本はゾンビだ」と言われかねない。
ところでアベノミクスだが、私は「あと1年半の寿命」と答えておいた。

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