<時事直言>「日銀は誰のものか」(中原伸之著)

私を目にかけて下さった舩井幸雄先生と竹村健一先生が他界されて何年にもなりますが、日銀の審議委員を長くお勤めされた後、隠居されていましたが私の「実践経済セミナー」に毎回お越しいただき自称私のご意見番としてご指導賜ってきた中原伸之先生が11月1日お亡くなりになりました。
心からご冥福をお祈り致します。

私は常日頃から「日銀はアメリカのFRB(米連邦準備理事会)の日本支社である」と言ってきた。
それは、日銀は日本ではなくアメリカに貢献しているからである。
2013年4月4日黒田総裁は「異次元金融緩和」と銘打って物価上昇(インフレ率)2%をターゲットに大規模金な量的、質的金融緩和を打ち出し、両2年で達成出来ると豪語したが、8年以上経った今日いまだに1%以下である。
政治は結果、黒田総裁の金融政策は「大失敗」に終わったのである。
10月28日の記者会見で、記者から「黒田異次元金融緩和は失敗ではなかったのか」と問われると、失敗を認めず、「成果はある」、「意味はある」と意味不明瞭な発言を繰り返すばかりであった。
肝心の量的緩和の実態を本年の日銀のETF介入を例に見てみよう。
年間ETF購入上限は12兆円、2020年までの介入実績は最高約7兆円、最低約4兆円であった。
本年2021年の実績は下記の通りである:
1/4、1/15、1/20、1/28、2/26、3/4、3/5、3/22、3/30計9回各501億円(Topixマイナス0.50から1.9%)、合計5,010億円。
3/24、4/21、6/21、9/29、10/1計5回各701億円(Topixマイナス2.0%以上)、計3,505億円。
11月現在の合計は8,515億円である。
今年はまだ1兆円以下であるから日銀は驚くべき緩和縮小をしている。
介入時は外人が価格操作でTopixをマイナス0.50% から2%以下に下げた時で、外人はニッケイ平均27,000円台で買い込んだETF銘柄を日銀の買いにぶつけて売り捌いている。
これを何度も何度も繰り返しているので日銀の介入資金はほとんど外人に吸い取られ、ニッケイの上げに全く貢献していない。
東京市場をよく観察すると日銀の介入(量的緩和)は誰の為かよくわかる。
外人を通して日銀の緩和資金はアメリカに移動し続けているのである。
しかしありがたいことにアメリカに吸い取られた「日銀の膨大な資金が里帰りする」!
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