米中首脳会談裏話決裂の結果

新しい二大国関係、南沙諸島周辺の軍用滑走路、サイバー問題、環境問題等々の議題は新しい米中大国関係以外は表向きで肝心なことは別にあった。
米中大国関係は米国が準備不足である為「前向きに進める」ことを確認しただけにとどまった。(準備とは日本の再軍備とアジア・太平洋の米同盟国を日本主導で対中軍事同盟化して中国の対米有利を去勢すること)
中国の軍事力は2020年には米国に追いつき追い越し、GDPはすでに購買力平価では米中は肩を並べているから、もし現段階でアジア・太平洋の秩序を米中の責任下にすると年々米中の力のバランスが中国寄りに傾きやがて中国優勢となる。
中国が主張する米中大国関係は、ブッシュ政権などと異なりオバマ政権は一貫して「弱腰外交」なので残り1年半の政権寿命内にアジア・太平洋に可能な限り覇権を拡大するための歯止めなので中国としては出来るだけ早く合意したいところ。アメリカが中国に臨むことは、FRBが過剰に抱え込んだ3.5兆ドル(約400兆円)の処分(FRBバランスシートの正常化)である。
中国は8月11日、より市場化した新しい為替管理方式を発表したが、米国に人民元切り下げだとプロパガンダされ人民元が急落(4%)した。市場の人民元売り圧力に対抗するため人民銀行は外貨準備のドル債券を売って人民元を買い支えている。その為8月から1,000億ドル(約12兆円)以上の米債が売られた。
中国はロシアと共にゆくゆくは米ドルを国際市場から追い出そうとしていることを知って米国が警戒している最中の対中米国債買いの要望だった。
一方中国はIMFのSDR通貨入りを切望しているがIMF決議に拒否権を持つ米国は5年にわたって反対してきた。
取引は「中国が今後米国債売りを止めて逆に買えば米国は人民元のSDR入りに反対しない」というもの。
中国はIMFの指導の下で着実に市場の自由化を進めているし、預金金利も年内に自由化する。今直ぐ金融市場を自由化すると、8月11日に米系ヘッジファンドに上海総合が売り叩かれたように米国に中国市場をコントロールされることになるので好ましくない。
IMFは諸般の事情を考慮して人民元のSDR入りの協議を来年の9月に延ばした。上海総合などは個人投資家が大半で規模が小さく、外資に狙われやすいので来年9月までに公的機関や大手国営企業などを参加させ外資の攻撃に対し国家が関与しなくても耐えられる市場にする予定。
「米中裏会談」で中国は人民元に関しては「米国なんか怖く無い」と言う中国の自信を示したことになった。
結果FRBは3.5 兆ドルを何とかさばかなくてはならなくなり、まずは何でもOKの日本に4分の一を押し付け、他は世界に強制的(利上げにより)に買わせることになる。
10月末のFOMCまでに方針が決まれば、昨年10月末に日銀に追加緩和(80兆円)をさせ、直後に緩和出口を発表したと同じ事(今度は利上げ)をする可能性が高い。米国経済、又世界経済がどうであれ、FRBのバランスシートの正常化が最優先である。
FRBが10月利上げなら日銀は追加緩和で再び円安・ドル高・株高。
12月なら、それまでは現状維持相場。
「FRBの利上げは年内も来年もない」と言ったが中国が人民元価維持の為とドル市場縮小の為米債売りを続けるならFRBも背に腹は代えられない。

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