原油価格暴落の意味は大きく深い

FRB(米連邦準備理事会)が2008年から始め2014年10月末に終了するまで5年間三次にわたって行った量的金融緩和政策は、低金利維持と2%物価上昇、失業率6%以下を目標としたものであった。市場が求める以上の通貨を増刷すれば貨幣価値が下がり通貨インフレで金利と物価が上がるのが市場原理であるが、FRBは増刷した通貨で国債を購入するという市場介入で国債利回りを下げて低金利を維持することには成功したが物価上昇目標を達成することは出来なかった。
物価目標達成に失敗したのはモノとサービスの需給が低迷し続けたからである。失業率は目標の6%以下になったが、それは労働市場(Work force)参加者減少(就職を諦めた層の増加)の為で実際には失業者数は減っていない。さらに2008年のFRB緩和以来米国民所得は減少している。更に緩和政策による通貨(ドル)価値の国際的下落を防ぐ為ドル高政策を採り、輸入物価が下落し国内物価下落圧力となり消費者の買い控えにつながった。
実際には失業者は減らず、国民所得は下がり、物価下落による買い控えではモノとサービスの需給バランスが低迷するのは当然である。FRBが量的金融緩和を断念したのは緩和政策と言う名の市場操作の限界とジレンマを知ったからである。
日銀が一昨年(2013年)4月に異次元金融緩和を発表した時私は本誌で、「FRBが緩和を縮小し、やがて止めるのは緩和政策が失敗したから。日銀はそれを知ってか知らずか、FRBの(GDP比)三倍量の緩和政策を打ち出すなどは日本経済の為ではなく、FRB緩和終了ショックを和らげるため以外の何ものでもない」と述べた。
昨年10月末(FRBが緩和政策を終了した時)日銀は年間80兆円にのぼる追加緩和を打ち出したが、結果日本をはじめリセッションに陥っている欧州の資金がアメリカに流入し暴落寸前であったNY株価は史上最高値を更新した。

「原油価格暴落政策」はエネルギーコストの引き下げによる国民の可処分所得増を消費に向け、金融緩和政策で達成出来なかったモノとサービスの需給バランスをポジティブ転換する狙いと、21世紀の世界政治地図を一変させる冷戦戦略である。今日吹込みが終わった「時事直言協賛者にお贈りするCD」で詳しく解説したのでお勉強のほど。

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