No money talks but Energy talks. (カネではなくエネルギーがモノを言う) 

「小冊子」(Vol.50)の第7章で2020年までに中国のGDPと消費がアメリカを抜き世界経済の中国依存度がアメリカを圧倒、さらに中国の軍事力もアメリカと肩を並べた時、もし中国が人民元をドルに代わって世界の基軸通貨にするよう求めれば誰も拒否出来ないのではないか。ところがアメリカはその可能性を知った上でシェールガス・オイル革命に専念していると述べた。アメリカは21世紀も引き続き世界経済を主導するためには世界最大のエネルギー大国にならなくてはならないと考えている。それは「エネルギーを制する者は世界を制する」からである。シェールガス・オイル革命でアメリカの石油生産量は2008年以降50%も増加、現在でも石油に天然ガスやバイオ燃料を加えれば世界最大の産油国である。IEA(国際エネルギー機関)は2017年までにアメリカはエネルギー輸出国になり2020年には世界最大のエネルギー大国になると発表している。
オイルショックの前年1973年から今日までアメリカの国内総生産(GDP)は約3倍になったが石油の消費量の伸びは7%以下。ちなみに日本は1973年前の製造業のエネルギー消費はGDPより高い伸びで年平均11.8%であったが今は1973年比でマイナス16%に下がっている。これはオイルショック後原油のほぼ100%(96%)を輸入に頼っていた日本がショックの危機感を梃にして省エネ・エネルギー効率化と多様化を進めた結果である。日本のエネルギー効率化並びに多様化とアメリカの原油・天然ガス増産でGDP第一位と第三位の中東への原油依存度は低下しているが、一方エネルギー効率の悪い中国等新興国の需要が伸びているため世界の石油生産量は1973年から50%も伸びている。
今後アメリカの原油中東依存度はゼロに集約、一方中国の中東依存度は増大化する。

米中の政治・経済上の戦略的争点 

アメリカの対中弱みは財政問題。中国はアメリカの国債を約115兆円保有しており、対米戦略としてドル資産価値低減を犠牲にして米国債売りを仕掛けアメリカをドル暴落、金利高騰に追い込むことが出来る。
アメリカの対中強みは中東地政学問題。中国の原油中東依存度が高まると、すでに中国の中東依存を見越してアメリカが主な中東産油国に放っている反政府革命分子が原油採掘井戸、精製所、パイプラインを爆破、中国のエネルギー輸入にストップを掛け中国経済を破たんに追い込む。アメリカはシェールガス・オイル革命で何時債務国から債権国になれるか。中国のGDPと消費は何時アメリカを抜くか。この試合で世界覇権が決まる!?
すべては日本でオリンピックが開催される2020年に決まる!
金メダリストはアメリカか、中国か、それとも「漁夫に利」の日本か?

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