財政再建は古い考え

「古い」、「新しい」というが「古い時代」と「新しい時代」について考える。
私の定義では古い時代は1970年代までで経済成長時代、新しい時代は1980年代からで経済成長が止まった時代。さらに言えば古い時代の経常収支は貿易収支で稼ぎ、新しい時代は海外所得収支で稼ぐ時代である。
国家財政で言えば古い時代は税収が多く財政黒字時代で、新しい時代は年々歳出が歳入を上回る財政赤字時代。新しい時代は何故恒常的に財政が赤字になるかというと経済成長鈍化で景気が上向かないので企業にも国民にも増税が出来ず歳入と歳出の赤字を補てんするための借金(国債)が増大し続けたたから。
たとえオリンピック東京招致が決まっても需要は一過性でいつまでも続くものではなく、需要が伸びず供給過剰状態が続く。戦争もないとすればScrap and build(破壊して立て直す)の原理も働かない。そして増税は難しいから財政赤字の恒常化は止まらない。歴代内閣が目指してきた「2020年まで財政の支出と歳入をゼロのする」などは空想に過ぎない。こうした政治でどうすることも出来ない経済の趨勢を前提にするなら今までの古い財政の概念を新しい概念に変えなくてはならないと思う。アメリカではないがどうしても国民のために国家の運営を止める訳にはいかないなら選択は二つしかない:「増税するか」又は「借金するか」である。成長が止まった経済下での増税は無理だから「借金するしかない」のである。国民は享受するサービスの対価として当然払うべき税金を払わないばかりか減税の恩恵で資産が増え続ける。一方国家は減税と税収でカバーすべき歳出のための借金が増える。
そこで「増税=国債」という概念が生まれる。
もう一つの概念は「国家は国民の利益のための機能集団であって株式会社のような利益追求型集団ではない」ということである。
つまり株式会社の赤字と黒字(利益と損)の概念を国家に取り入れてはならないということである。
「国民の利益の増大=国家の借金(国債)の増大」という方式が成り立つ。
「増税=国債」と「国民の利益増=国債増」が新しい時代の二大概念である。
この二大概念が国家経済に定着し国民の利益が恒常化するには唯一の条件がある。それは国民が税金を払う代わりに「増税=国債」の概念に基づいて国債を買うことである。そうすれば日本の国債と円は何時までも世界のセーフティー・ヘブン(安全港)となる。すでに日本では国民がほぼ100%の国債を保有し世界一の金持ちになっている。「財政再建」をまるで国是にするなど「時代遅れ」の標本のようなもの。21世紀の「正しい概念」で「すべての嘘と真(まこと)」を解き明かします。

※先日は弊社HPの不具合によりご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。
現時点(http://www.chokugen.com/ 、http://www.masuda-toshio.com/ 共に復旧しております。)

201310-Vol.50

コメントは受け付けていません。