金正恩のトランプ援護第二弾

5月14日の本誌で、現状の南北朝鮮停戦協定を終戦協定に換えることなしに北朝鮮だけ先に武装解除(核廃絶)することはあり得ないと述べ、北の核廃絶にあたり、軍産は金正恩が拒否することが分かっているCVID方式(完全で、検証可能かつ不可逆的な非核化)を主張することで米朝会談をご破算にしようとしている。(米朝が敵対関係に戻れば在韓米軍=軍産維持、日韓の武器購入額は増大)トランプは軍産の強い意向と軍産が作った世論に従ってCVIDを主張せざるを得なかった。トランプが米朝会談は大成功すると自信満々なのは、金正恩がCVIDに関して援護射撃をしてくれるのを知っていたからだ。北朝鮮国営メディアは5月12日、6月12日の米朝会談に先駆け、5月23‐25日に北方核実験場を完全封鎖し国際社会が検証出来る形で破棄すると発表した。これを受けてトランプはツイッターで金正恩に「感謝の意」を表した。米朝会談でトランプは北朝鮮の核実験場破棄を歓迎し受け入れざるを得ないからCVID方式は自ずと消滅し、中国、韓国、北朝鮮が望み、日本だけが望まぬ段階的破棄、それに歩調を合わせて制裁を緩和する方式になる。トランプが金正恩に感謝したのは、トランプが軍産の意向に沿った振りをして従ったCVID方式を無効にし、軍産の米朝会談妨害を絶ってくれたからであると解説した。
金正恩は、米韓合同軍事訓練は対北朝鮮占領準備行為だと非難してきたが、南北首脳会談(4月27日)前の4月1日から約1か月間の米韓合同軍事訓練に理解を示し譲歩した。米国人3人の釈放、日本を除く米中韓露立ち合いの下で行われる北部核施設破棄(5月23‐25日)、国連での核廃絶の為の国際機関参入(5月15日)等々北朝鮮は核廃絶に向けて真剣に取り組んでいることをアピールしている。これに対して軍産は4月に続き5月11日からマックスサンダーなる米韓軍事訓練を強行し、CVIDと同じく米朝会談を妨害する。そこで金正恩は米朝会談成功がアメリカ世論の希望になったことを確認して、米朝会談危機を表明することでトランプが軍産の妨害にストップをかけ易いよう手を打ったのである。
今回北朝鮮の南北高官協議キャンセルで、トランプのマックスサンダー(米韓軍事訓練)早期中止で国民の支持が得られるよう配慮した金正恩の軍産と戦うトランプへの援護射撃である。

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