<時事直言>高市は本気で「鉄の女サッチャー」を目指しているのか?

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高市がこのまま「財源無き積極財政」のイメージを続けるなら、サッチャーどころか、2022年就任からわずか44日で政権の座を降りたトラス(英女性首相)になりかねない。
トラスは就任早々450億ポンドの減税に匹敵する基本税率引き下げ、法人税引き上げ凍結、高額所得層への高率課税廃止等々に加え国債頼りの積極財政を打ち出した。
結果財政悪化でポンドは信認を失い急落、トリプル安(通貨、債券、株価)に陥り、中央銀行(バンク・オブ・イングランド)のポンド買いで何とか通貨崩壊を免れた。
財源無き積極財政がいかに恐ろしいかを物語っている。
高市が頼るアドバイザーは、安倍政権下で高市と一緒にアベノミクスを支えた元財務官僚の本田悦朗である。
本田のイメージは「財源無き積極財政」であり、同じイメージが高市に投影されている。
アベノミクスは、デフレ脱出を目指したインフレ志向で日銀黒田総裁の異次元金融緩和、イールドカーブ・コントロール(市場介入)による政策金利のマイナス・ゼロ固定の時期に打ち出された「財源なき積極財政政策」であった。
今はインフレ加速、株価、住宅価格、金価格等資産高騰・バブル(インフレ)期であって経済、市場環境はアベノミクス当時の正反対の状況である。
高市の言う通り、日本の物価高はアメリカと異なりコスト高が最大要因である。
日銀の植田総裁は、物価安定の使命に従って追加利上げを目指しているが、高市の「(日銀の特権である)金融政策は政府の責任である」の一言で追加利上げを躊躇している。
日銀の利上げが引っ込み、高市の積極財政志向が見えてくると、どうしても長期金利利回り上昇、市場金利上昇、住宅ローン金利上昇、さらに円安進行で原材料高になり結果物価高加速で日本経済はイギリスのトラス・ショックに陥るリスクが高まる。
冒頭で述べたように、高市はサッチャーどころかトラスの二の舞になりかねない。
昨日のインターネット目からウロコの増田塾の「本日の株式指南」テキスト版と午後6時の無料インターネット放送(増田チャンネル)で述べた通り、高市の「財源無き積極財政」の想定イメージで10月7日新発30年債利回りは3.345倍と過去最高水準となり、昨日10月9日の5年利付債入札は12か月平均と同じ3.69倍と無難に終わったものの、7日に付けた高水準債券利回りは加速している。
市場金利上昇に伴い、住宅ローンの80%を占める変動金利の上昇に伴い過去12か月20‐30%の上昇を続けてきた投資目的がほぼ半分を占める都心のタワーマンション等高級物件の売りが加速してきた。
日経平均が連日史上最高値を更新する半面、住宅市場は売りが売りを呼ぶリスクの可能性が高くなっている。
株式市場は冷静を欠いているが住宅市場は冷静に動いている。
高市の財源無き積極政策の想定イメージはやがて消滅する「あぶく銭市場」(株式市場)には貢献するが、国民の生活が懸かっている住宅市場悪化が懸念される。
高市は投機市場ではなく実体経済を直視した政策を早く打ち出さないと、トラスのように就任44日で退陣することになる。
幸い9日のテレビ番組で高市は、「日銀の利上げはアホやと思う」と言った発言を訂正して、金融政策は日銀が先と言い、「金融政策は政府の責任」を修正、又純債務の対GDP比を徐々に減らすと言ったことは、必ずしも積極財政とは限らないことになる。
これで高市トレードが終わらないと、株価バブルによる暴落へ向かうことになる。
暴落になれば、今度は高市の責任ではなく兜町の責任になる。
高市は上手い手を打ったことになる。

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