PDFファイル「20251201_1777」
2022年12月16日岸田内閣時、閣議決定された安保三文書改訂は画期的であった。
国家安全保障戦略（上位文書）は脱脅威（守り）から脅威対抗（先制脅威除去）に変わり、国家防衛戦略（中位文書）は積極的目的達成型に変わると同時に防衛力整備計画（下位文書）は目的（先制攻撃能力）達成の為の時期と制限なき予算措置による整備計画に変わった。
「迎撃ミサイルには限界がある」と安倍晋三が言った通り、迎撃だけではミサイル攻撃から日本を守ることは出来ない。
日本の防衛指針が「攻撃は最大の防御なり」へ転換されたのだから画期的だ。
三文書改訂で2027年までに目標（自衛隊の先制攻撃能力）を達成させることに決まり、必要予算43兆円を計上し、今や自衛隊は攻撃型ミサイル（トマホーク）やステルス型F-35A戦闘機の配備を急いでいる。
高市首相は防衛予算を従来のGDP比1％から2％への引き上げを2025年からに前倒し、目標（自衛隊の先制攻撃体制）達成を急いでいる。
三文書改訂で「周辺事態（放置すると我が国が攻撃を受ける事態）」における米軍と自衛隊の任務分担が変わることになった。
三文書改訂前はいわゆる「矛と盾」の関係で米軍が攻めで自衛隊は守りの後方支援であった。
すでに日米統合作戦司令部発足に見るように、自衛隊は最早盾ではなく米軍と共に矛になった。
自衛隊が敵地（仮想敵国＝中国）先制攻撃能力を持つことは憲法第9条の専守防衛の指針に反するのではないかの疑問については、「日本が攻撃を受けた際の反撃は再度の攻撃を抑止または阻止する為の行為であり合法とされてきた。
三文書改訂による敵地先制攻撃は、我が国への攻撃を「事前」に阻止する行為なので、攻撃を受けた場合の反撃と同じく合法である」が政府見解である。
問題は、中国が台湾に対して武力行使をした場合「日本は存立危機事態になる」と言う高市発言である。
安保法制では「日本と密接な関係のある他国に武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求権が根底から壊される明白な危険がある事態になれば、自衛隊は集団的自衛権行使で軍事行動を執る」ことになっている。
日本と台湾は密接な関係があるとは言え、正式な国交はなく、日本の同盟国でもなく、いわんや安全保障条約も結んでいないのに何故集団的自衛権が発動される可能性があるのか。
「台湾有事は日本の有事ではない」のに何故高市は台湾の有事を日本の有事と言うのか。
それは同盟国アメリカの軍事基地が沖縄をはじめ日本中にあり、アメリカは台湾関連法で台湾の安全を保障しているから、中国が台湾に武力行使をした場合在日米軍が日本から出動することになり、日本の米軍基地が中国の攻撃目標になる。
だから間接的には日本の存立危機が成り立つことになる。
しかしアメリカの台湾関連法の目的は中国に台湾統一に当たり武力行使をしないようにけん制することであって（いかなる大統領も同法にサインしていないので）アメリカが実際に台湾の為に安全保障行動を執ることはあり得ないのである。
一方習近平が、台湾統一に武力行使の可能性を排除しないと言うのは、（経済その他の分野ではすでに台湾は中国の一部になっているので）政治的に台湾独立派に圧力をかける為であって初めから武力行使をする意志も意図もない。
しかしアメリカも中国もあり得ないことをあるかの如くすることで台湾海峡の緊張を高め続けている。
その結果アメリカと中国の基幹産業である軍事産業が栄え続けている。
はたして高市発言は台湾に対するトランプと習近平の真意を知った上での茶番劇なのだろうか。
それは高市の外務参謀がお粗末なのか、優れ者なのかの問いでもある。
しかし高市は女性でありながら犠牲覚悟でここまで中国を怒らせたのだから大したものだと言うべきなのだろう。
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